食文化の発達と、地域(地方性)は非常に関係したものがある。
特に昔は冷蔵手段が発達していなかったため、海から遠い地域のほうがより鮮度の悪い海の食材を美味しく食べれるように創意工夫をして技術が発達したのは有名な話である。
京料理は特に顕著にそれが表れ、恵まれない場所にもかかわらず懐石料理を作らないといけない地域なので、盛り付けや器にもこだわり芸術のような見事な装飾の料理は、そういう環境がもたらしたのではないだろうか。
夏の京料理の代名詞のハモなどもはじめは生命力が強いという理由ではあるが、それをここまで美味しい料理にするのは先人の確かな努力が見られる。ハモの骨切りの音を聞いたら夏の訪れを感じられる風情まであるすばらしい料理法である。
こだわりの逸品が味わえるお店
現在京都で人気の割烹の一つに私も好きな富小路 やま岸さん

良くも悪くももインスタ映えてしまい芸能人の方たちも投稿し象徴のようになってしまった、ウニの手巻きならぬウニドッグ。
ただ、やま岸さんにはそれ以上に大将山岸さんの京都でずっと職人をされていた誇りが私には見える。
こだわって京野菜を使い続けたり、あの丁寧に炊かれたごはんとお漬物を食べたときにそう思える。
一方、北海道や福岡など海の食材の鮮度がすこぶるよく、また種類も豊富な地域はいいものが取れすぎるがゆえ素材で勝負のお鮨が多かったようだ。
北海道でも江戸前を食すことができる新進気鋭の一幸さん

ただ、現在では情報が多様化しこだわりを持つ人が増え、食材がいいだけでは満足できずより美味しい食事をしたいというニーズが高まり、北海道でも江戸前を食すことができる新進気鋭の一幸さん。
37歳と若い大将ならではの細やかなセンスが人気の秘密だと思う。
福岡の小倉での天寿司さん

照寿司さん

上記、2店も独自の創作鮨の道を究めていっていると思う。
特に私は天寿司さんの天野さんの心意気や考え方にはそのお話を聞きに行くだけでも行ってよかったなと思えるものがある。あの63歳になってもなお新しいことを追及する姿勢は感動する。
余談だが私は定期的に金沢の小松弥助さん

という鮨を食べに行く。ここの魅力はなんといっても大将の森田さん御年88歳。生きる伝説である。
腰を痛めながらもこのご年齢にしてすべての席の鮨を握り、たくさんのお弟子さんたちはハツラツとして仕事をしていてすごく感じがいい。森田さんを尊敬して働いていて、また森田さんの教育が素晴らしいことを感じる。寿司を食べながらそんなことまで感じさせられる。
いつも鮨を食べ終わった後10分~15分ほどお話をさせてもらうが、まさに説法のようである。職人として鮨を通じてたくさんのVIPなどを数えきれないほど相手にしてきた方のお言葉は本当に深い、ただただ深い。
鮨は料理人の中でも最もと言っていいほどゲストとの会話を必要とされる。
隠すことをできず見られながら目の前で料理をし、会話をし、料理のことから内装から皿にいたるまで決めるのはすべて自分のセンスであり、それをゲストに感じてもらわなければいけないし、問われたときに信念を答えなければいけない。
鮨の醍醐味は大将にある。と私は思う。
LOVE 鮨